口臭の原因と予防方法
2022年12月7日
口臭の原因と予防方法
先日、患者さんから「私の口の中に臭い玉はありますか?」と言われました。
私は歯科医師なのですが、大学の授業でも臭い玉という言葉を聞いたことがなかったので、その時は何のことを言っているのかさっぱり分かりませんでした。
調べてみると、一般的に臭い玉と言われているのは扁桃のボコボコした部分にできる膿栓のことだそうです。色は、白や黄色い色で潰すとドブのような臭いを発します。膿栓の正体は、死んだ免疫細胞や細菌、ウイルス、食べかす、たんぱく質などが白くなり溜まったものです。膿栓は自分で除去すると喉や扁桃を傷付けてしまう恐れがあるばかりか、かえって口臭が悪化してしまいます。除去するのであれば耳鼻咽喉科で取り除くことが可能ですが、取り除いても原因を除去しなければまた膿栓はできます。除去するよりも膿栓ができにくい口内環境を整えていくことが大切です。また、膿栓の他にも口臭の原因はたくさんあるので、紹介していきたいと思います。
口臭には大きく分けて5つの種類があります。
- 生理的口臭…誰にでもある臭いで、起床後、空腹時、緊張時は特に口臭は強まります。これは、唾液の分泌が減少し、細菌が増殖するからです。しかし、歯みがきや水分をとることで唾液量が増加すれば口臭は弱まります。また、女性のホルモンバランスに伴う口臭、思春期、老齢期、民族的な口臭もあります。
- 飲食物による口臭…ニンニク、酒、タバコ等によるものです。
- 病的口臭…鼻やのどの病気、呼吸器系の病気、消化器系の病気、糖尿病、肝臓疾患などが原因で口臭がおこる場合もありますが、病的口臭の90%以上は口の中に原因があり、歯周病、虫歯、歯垢、歯石、舌苔、義歯の清掃不良などがあげられます。
- ストレスによる口臭…ストレスで唾液の量が少なくなると口が臭くなります。
- 心理的口臭…臭くないのに自分は口臭がすると思い込む人がいます。
ここまでのお話で分かる通り、口臭のほとんどは歯科医院で定期的なメンテナンスを受けることで予防することができます。
特に歯周病は、放っておくと静かに進行する病気なので、自覚がなくても歯周病になっている可能性があります。
虫歯はもちろん口臭の原因のひとつなので、虫歯が大きく進行する前に治療をしておく必要があります。
メンテナンス時に、プロの技術で歯垢や歯石、舌苔など普段の歯みがきでは落としきれない汚れを取てもらうことも大切です。
また、不良な歯の被せ物はすき間に汚れがたまりやすくなり、口臭の原因になります。
痛みがないからと言って放っておくと、口腔内環境が悪化します。その他にも口の中の癌により口臭が発生している場合もあります。自分の口臭が少しでも気になる方や、最近歯科医院に通っていない方は、ぜひ一度歯科医院でメンテナンスを受けてみて下さい!
口腔(口の中)が原因であるケース
口腔で一番考えられるのは歯周病です。過去の研究で歯周病と口臭の間には高い相関性があることが知られています。
歯周病の特徴は歯周ポケットができることです。これは口の中の細菌の格好の住みかを提供します。細菌の中でも嫌気性菌は代謝の過程で硫化水素やメチルメルカプタンを産生します。これが口臭のもとになります。
客観的に口臭の度合いを測定する装置がありますので、調べてもらうとよいでしょう。また歯周病のチェックも必要です。
お口の中チェック!!
- 歯ぐきからよく出血する。
- 歯ぐきがよく腫れる。
- 口の中がネバネバする。
- グラグラした歯がある。
- 歯と歯の間に食べ物がよくはさまる。
- 穴のあいた歯がある。
- 歯の表面を舌でさわるとザラザラしている。
- 義歯、ブリッジ、冠などが、入っている。
- 舌を磨いたことがない。
- 口の中がパサパサしている。
1.2.3.4.5.に当てはまる
歯周病が原因。歯周病により、口腔内細菌により分解され、発生した物質が悪臭を放つ。
6に当てはまる
虫歯で空洞ができて、食べ物が入り食べ物が腐敗して、悪臭を放つ。
7.8.9に当てはまる
歯磨き不良により、歯垢や食物残渣によるもの。
10に当てはまる
唾液が少ないのも原因です。(口腔乾燥症)
監修 大串 博
歯科医師臨床研修指導医
日本歯周病学会 専門医
日本口腔インプラント学会専門医
日本臨床歯周病学会 歯周病指導医・認定医 ・歯周インプラント指導医
日本顎咬合学会 認定医
日本アンチエイジング歯科学会認定医
日本歯科医師会認定産業歯科医
インビザラインダイヤモンドドクター
日本審美歯科学会会員
日本血液学会会員
点滴療法研究会会員 高濃度ビタミンC点滴療法認定医
日本歯科医師会会員
「鬼手仏心」
歯科医になった時からの座右の銘です。
生涯常に研修・精進、メスを置くまで終わりのない道を登り続けます。